9/25は岡宮来夢くんの特典写真集のお渡し会に行ったのですが。
実はその直前、TDCに行ってました。前日もいました。3回観た。(本当は大阪公演もチケット2枚取ってましたが体調不良で断念しました…無念…)
舞台ヒプノシスマイク「どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!」、最高だった。ありがとう。
感謝の気持ちを以下にしたためます。
私のヒプノシスマイクとの出会いは2月でした。
バナステ後編が中止になって、刀ミュの江水に救われて、加藤大悟くんが気になって。
そうだ、大悟くんが出ている、舞台ヒプノシスマイクTrack.3を観てみよう!と思いました。ヒプノシスマイクのこと何も知らないのに。
初見でヒプステTrack.3を浴びた私は、まんまと「白膠木簓」というキャラクターに落とされました。
荒牧慶彦〜〜〜ッ!
荒牧さんの簓、かわいすぎ。やば〜〜。
怒涛の勢いで沼に落ちて、7ヶ月後、私は現場にいました。
ヒプノシスマイクについて
このブログをご覧くださってる方は刀剣乱舞や岡宮来夢くんのファンが多いかなと思うので、
ヒプノシスマイクという作品について少し書いておきます。語りたいから。
この作品では、武力が根絶し、その代わりに「ヒプノシスマイク」という精神に干渉するマイクを使って社会が統治されています。
(日本しか描写がないので、他国もそうなのか現状ではわからないです。)
東方天乙統女(作中現総理)が、ヒプノシスマイクを使ってクーデターを成功させたのが3年前。(*1)
彼女にマイクを売ったのが、天谷奴零というキャラクターです。
ハッピバースデー天谷奴零😎
— ヒプノシスマイクD.R.B公式(ヒプマイ) (@hypnosismic) 2020年1月23日
みんな憧れるアダルトです🍸
実際に会ったら近寄り難さが超ド級🤺🌪🌪🌪
だけど祝われまくってるのは保証する🥊🌚
アーイ🙌 pic.twitter.com/oOKL1NpBmw
この天谷奴零という男、上記の通り「どついたれ本舗」の一員なのですが、
実は、今回対戦する相手チーム「Buster Bros!!!」の山田三兄弟の実の父親でもあります。
そう。親子対決なんだよ。やばいね。
その事実が明かされるのが、「Helter Skelter」というドラマトラック(ボイスドラマ)です。
今回のヒプステ「どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!」は、2ndディビジョンラップバトルの時間軸で、
ドラマトラックの「Helter Skelter」、「Aikata(s)
Back Again」、「Life is what you make it」(以下2ndドラパ)の内容を踏襲しています。
「Helter Skelter」にて、実は父親は生きていた、と知った二郎と三郎。二人は自分たちのことを育ててくれた兄の一郎を尊敬しています。それは、盲目的なほどに。
しかし、親は亡くなったと聞かされていたのにそうではなかった、ということをきっかけに、二人の中にその盲目さへの疑いが生まれるのです。
それに端を欲し、二郎が一郎から自立するのが「Life is what you make it」。
「兄ちゃん」と呼び慕い、兄ちゃんが言うなら正しい!とある種思考停止で従っていた二郎が、変わるのです。「兄貴」呼びになり、自分の意思を伝えられるようになり。
最高〜〜〜〜〜〜ッ!
「Aikata(s) Back Again」はどついたれ本舗…というかほとんど簓と盧笙の話です。
零は物語のキーパーソンなので、まだほとんど何も提示してくれない…。
白膠木簓と躑躅森盧笙は、過去に漫才コンビを組んでいました。(*2)
簓には圧倒的な才能がありました。隣で劣等感を強めていった盧笙は、舞台上であがり症になるまで追い詰められてしまいます。
そしてコンビは解散。
芸人を辞めた盧笙は教員を目指すものの、不採用となり、「教員になって何をしたいのか」自分と向き合って「夢を応援したい」という新しい目標を見つけます。
一方、簓はその後、相方を探して東京へ行き、そこで碧棺左馬刻と組んで、Mad Comic Dialogueというラップチームを組みます。(なんで??????)
結局、ヒプノシスマイクによる洗脳を受けて解散となり、オオサカに戻った彼はピン芸人として再始動。
ラップチームを組めと言われて盧笙と再結成し、そこに天谷奴零も加わったのが、「aikata back again」というドラマトラックでした。
「Aikata(s) Back Again」は、「aikata back again」で再会し再結成した簓と盧笙が、新しい関係を構築するための第一歩を踏み出すエピソードです。
(「Helter Skelter」と相似した構成ですね。最高。)
機能不全家庭で育った簓は、ひとを信頼することができない。だから、全部自分一人でやってしまおうとする癖がある。
対して盧笙は、コンビ時代、全部一人でやってしまう簓の隣にいて、劣等感から焦って空回り、結果あがり症になってしまった。
盧笙も盧笙で、機能不全を抱えているため、ひとから期待されるのが嫌いだった。だけど、簓からは期待されたいと思っている。
零に発破をかけられ、その気持ちを自覚した盧笙は、「簓から期待されたい」として簓にラップバトルを申し込みます。
一方、簓の方も、コンビを組んでいた頃、盧笙とは本気で繋がりを作ろうとしていた。
だからラップバトルを通じて、本気でぶつかります。
AsBA〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!
最高。ありがとう。
簓も盧笙も、親との関係がうまく機能していないため、発達段階における不和を抱えているんですよね。(*3)
信頼できない。期待されたくない。
でも、それを相手には求めていた。求めているから、本気でぶつかり合うことにした。
親子という呪いを、相方によって…解い…解い……ッ…
ヒプステ、もしかしてこれを生で観れるのか…?観れちゃうのか?!?!!!!!と、期待と不安を抱えて、観劇に行きました。
観れちゃったな。ハァ……。
ヒプステ DH vs BB 感想
ステがアレンジした2ndドラパ、最高の舞台演出でした!!!!!!!!!(結論!)
原作のドラマパートではサラッと流された箇所から、感情を抜き出して、その感情が爆発するような構成になってるんです。
そう、ヒプノシスマイクは精神に干渉するマイク。このマイクに乗せる言葉は、自分と向き合わなければ出てこないのです。
男たちが向き合い曝け出しぶつけ合った感情、もう、さいこ〜〜〜!しか言えねえよ。
今回、2ndドラパを描くにあたって、「親子という呪いの解除」を軸にしたんだな〜という印象を受けました。
二郎が一郎の庇護から自立するイケブクロ。
そしてオオサカでは、盧笙が簓の過保護からの自立を求めました。
そして山田三兄弟は、父親である零とも決別しています。
今回、零の方も、「親であることより敵であることを選んだ」んです。
終盤、三郎とラップバトルを終えて縋りつかれたとき、左手が逡巡してて…、本当は抱きしめたいんだろうな、と思いました。
でも、「親でいるより敵でいる」ことを選んだんだよ。
おそらくは「お前らの母親=妻」を優先して、何か暗躍しているのでしょう。マイクを作ったのも、その手段のひとつだと思われます。
息子たちに愛情がないわけではない。だけど、そのふたつを両立させることが零にはできなかった。
義理人情を謳う男なので、その選択は、零にも思うところがありそうです。
零がヒプノシスマイクの開発をしていた頃、一郎たち三兄弟は養護施設に預けられ、そこで虐げられていました。
一郎は萬屋を開業して、弟たちを育てます。まだ10代なのに。
この辺はコミカライズで補完されています。
2ndドラパでは、そういった山田親子の因縁が色濃く掘り下げられていました。
そんな零が選んだ盧笙と簓も、親から深い傷を与えられたまま大人になっています。「期待されたくない」「信頼できない」という形で残っていたその呪いを、お互いから得ることで解こうとします。
これを軸にするために、ステでは以下の三つが強調・追加されていました。
①零と一郎の決別の理由に「母」のことがある
②その母(=零の妻)と自分を、零は簓と盧笙に重ねている
③山田親子の間にある「呪い」を強調するために、簓や盧笙の親との関係は抑えられた
(※③は原作というよりもコミカライズ(*2)で描かれています。)
(※①と②は、原作を聴いた時点では「そう解釈できる」という程度でしたが、ステではっきりと明言されました。)
序盤、零からの手紙を受け取った一郎は、「あいつは父親という名の何かだ」と苦悩や悲嘆をあらわにします。
そのダンス!!!!!!!!!!
舞台上には零も出てきて踊るんですが、そのダンス、零が踊ったあとに、一郎が同じ振りをする構成になってたんですよ。
やば〜〜〜〜〜。踊らされてる。現場でガン見しちゃった。
零は三郎に対して、「お前たちが進んだ道 それこそ俺が作った道」「決してお前らは俺からは逃げられない」とも言い放っています。
親子という呪い……っ。
主題歌のタイトルと歌詞的に、今回は「血縁」に焦点が当たるのかな、とワクワクしていました。
イケブクロ・ディビジョンの山田三兄弟は、自分たちが「血の繋がった兄弟」であることを誇りに思っています。
対して、オオサカ・ディビジョンの三人は異なる価値観です。
簓も盧笙も、そして零も、血の繋がりよりも「相方」を優先しているのです。
ステではその対比と、「血の繋がり」「血縁」という祝福と呪縛が描かれていました。
ありがとう。最高。ありがとうございました。。
植木豪さんの演出
来年、くるむくんがミュージカル進撃の巨人で主演を務めますが、その演出が植木豪さんです。
ヒプステでも演出を担当されています。
舞台ヒプノシスマイクは「ステ(舞台)」を謳っていますが、ミュージカル楽曲がラップソングに代わった、「ラップミュージカル」というイメージに近いです。
ヒプステの演出の植木豪さんと、音楽を担当するKEN THE 390さん、お二人とも進撃ミュにクレジットされています。
と、いうことは、進撃ミュ、そのまんまラップミュージカルなんでしょうか…?
でも、せっかくだからゴリッゴリのミュージカル楽曲も聴きたいよ〜〜!くるむくんのミュージカル歌唱を浴びたいよ〜〜ッの気持ちもあります。
どうなるのかなー。
植木さんの演出はなんといってもあの最新技術を取り入れた素晴らしい映像とダンスの合成なので!
立体機動装置によるアクションは、ヒプステでも使われている映像とダンスで表現されるのかなと思っています。
本当にすごいんだよ〜〜。
ダンサーさんが持っている液晶に歌詞や光が流れるのですが、その切り替えも素晴らしいし、流れる映像によってシーンがより重厚的になるんです!!!
プロジェクションマッピングとダンスの融合というやつなのでしょうか。この辺に明るくなくてフワッとしたことしか語れない!くやしい!
おそらく植木豪さんの持ち味がそこにあるんだと思います。
進撃ミュも楽しみ〜!
付記として。
今回、初めてヒプステのチケットを取ったのですが、先行は電子チケットオンリーでした。
電子チケットならではだなと思ったのが、
申し込み時点で同行者の個人情報も必要な点!
すごい。めっちゃ良い。
しかも、申し込めるのは一公演のみ2名まで。すごい。めっちゃ良い!
ア〜〜良いな〜〜!!!!!
(一般は紙チケットでしたが、その場合でも身分証明書を提示してからの入場でした)
これと並行して、双騎のチケットに苦戦していたので、もうほんと、ヒプステ最高!ありがとう!って思いました。
刀ミュくんも真似してくれませんか。。
たしかに、チケット当落のたびに全落ちがトレンド入りするのはお祭り気分で楽しいし(トキ消費!)、
推しの人気を実感できてうれしいのですが、
でもさあ、チケット取れないの、シンプルにつらいって。
刀ミュFC→パライソ円盤→くるむくんFC→ネルケハ→ローチケ→劇場先行と落ち続けて、一般発売でも取れなくて、ほんっと〜〜に泣きました。めちゃくちゃ泣いたよ。。
人気だ人気だ!ってなるほど、転売の餌食になるので。需要と供給の関係。
結局劇場には行けなくて、高額取引を観るたびにがっかりした気持ちになりました。利益を得るための人は取れてて、真面目に純粋に楽しみにしてる人は取れないの、どうなの〜!
刀ミュの文化の担い手としての姿勢もすごくすごく好きなので、こういうところも、うまく整備していってほしいなって思います。電子チケット導入してくれ。
*1
ヒプノシスマイクを作ったのも天谷奴零です。
彼がどうしてマイクを作り、それを東方天乙統女に売り、なぜ「どついたれ本舗」の一員としてディビジョンラップバトルに参加しているのか。
その目的はいまだに一切明かされていません。
ただ、乙統女は「男が統治する世界からは争いがなくならない」としてマイクを使用していますが、すっっごい皮肉だなあと思います。
いわゆる男性社会において、社会を統治するものは「武力(及び知恵)」でした。それは現実の社会も同じです。
この「武力」、社会学ではしばしば「ファルス(=概念としての男性器)」に喩えられます。
女性である東方天乙統女が、それまでの男性社会で用いていた「武力」ではなく「ヒプノシスマイク」を用いる…。
武器にせよマイクにせよ、「ファルスの代用品」であることに変わりはないのです。
なんて皮肉なんだろう。
(参考文献)
精神分析におけるファルスの意味 田中公江
*2
コンビだった頃、及び「aikata back again」の内容はコミカライズでも読めます!
時系列順に箇条書きしておくと、
・二人はかつてコンビだった
・天才・簓に追いつきたくて空回り、その才能を壊したくないとして解散を選んだ盧笙
・盧笙は簓からもらった言葉をきっかけに教職の道へ
・一方、簓は盧笙以外に相方を見つけられず、活動休止して池袋へ
・そこで漫才師を辞め(やばくない?!)、愚連隊を率いるように(笑わすための言葉を使って…ラップを紡いで精神攻撃を…ッ…)
・思惑が働きそのチームも解散させられ、オオサカに戻った簓
・再びチームを組むよう政府から指示され、盧笙と組む
という感じです。
*3
二人の抱える機能不全は、コミカライズの一話に書かれています。
幼少期、喧嘩の絶えない両親を笑わせるために、簓は芸人の真似をしていました。(いわゆるマスコット型のアダルトチルドレンだと思われます。)
また、盧笙には、母親から勉強を強いられグレていた時期があります。(盧笙の抱える傷の程度について描写があまりないのですが、個人的には教育虐待に近いなと思います。)
高校卒業後一人暮らしをし、解散後一旦は実家に戻ったのにも関わらず、アパートを解約せずいまだにそこに住み続けていることからも、親と距離を置きたいのだと判断できます。
親との関係が健全に機能していない二人は、それによって一度解散したものの、零の助言を受けて、「やり直し」を図ります。
「信頼してみたい」「期待されたい」という解を得て。