造られた存在が手に入れた「本物」のポッセ[ヒプステFPvsMTC感想]
スパイファミリー観劇の前日は、水道橋でヒプステ観てました!水江建太くん!!!!!!!!バナステ前編ぶり!!!(後編は中止で観られなかったので)
今回の公演から声出し解禁されたんですけど、コロナ禍以降2.5次元舞台というジャンルを観劇するようになったので、全然わかんなかった。なんか…周りに合わせてワァーッ!て手を叩いてました。わかんなさすぎて。
で、内容。
そもそも私は原作のドラマトラックが大好きなんですよ。
(1stバトルシーズンはともかく)2ndバトルシーズンに出たドラマトラック、全部良い。全部好き。(*1)
Fling Posseのドラマトラック『Catch Us If you can』での、帝統の「最強最高のポッセだぜ!」ってセリフ(2:58)が大好きすぎて、アレを生で聴くのを楽しみにしてたので…
な、ない…??????てめちゃくちゃショックを受けました。なかった。
でもその分、「飴村乱数」というキャラクターについてはめちゃくちゃ掘り下げられてました。
ヒプステ、乱数の「人間コンプレックス」を描くのがめちゃくちゃうまい。
Fling Posseのリーダー・飴村乱数は人間ではなくて、(どついたれ本舗の一員である)天谷奴零によって作られたクローンです。(*2)
彼はクローンでありながら、「ポッセ(=仲間)」をいつも求めていました。
最初に組んだ神宮寺寂雷とは中王区の命令によって決別するのですが(*3)、その際、寂雷が乱数に言い放つのです。
「“造られた存在”の君が……なぜ私に近づいたんだ?」
(寂雷も寂雷でクローン乱数に大事な存在を昏睡させられた直後なので仕方ないセリフなんです。切ねえ〜〜〜。)
このことが乱数に大きな影を落としました。
ヒプステこと舞台ヒプノシスマイクはこの乱数のこの感情を描くのがめっっっちゃくちゃ巧い。うますぎ。(*4)
「造られた存在」「俺は偽物?」「じゃあ本物って何?」「人間であることがそんなに偉いのか」。
迷いや怒り、悔しさ。そして、寂しい。乱数は寂しかった。
ずっと「ポッセ」を求めていた。
かつて「空寂“ポッセ”」だった寂雷によって投げられ深く刺さった言葉のナイフは、しかし、今の「ポッセ」が抜いてくれます。
「俺はクローンだ」という乱数に対して、帝統は「そんなの関係ねえ」と言ってのけます。
人間ではないことと、三人がダチであることにはなんの関係もない。本当それ〜〜!本当にそう!!!!!なんですけど、乱数にはそれが、どんなに得難い幸福だったか…!
「最強最高のポッセだぜ」はなかったけど、その分、乱数が今のポッセにどれだけ救われたのか、めちゃくちゃ丁寧に描いてくれてありがたかったな。ありがとう舞台ヒプノシスマイク。
飴村乱数というキャラクターの理解が深まっような気がします。
ニセ乱数たちが乱数みたいな性格してるの、すごい謎だったんですけど(*5)、もしかすると、ニセ乱数たちって、乱数とはクローン元が違うのかもしれない、と思いました。
なにかを元にして作られたクローンが、飴村乱数。
その飴村乱数をクローン元としてコピーしたのがニセ乱数たちなんじゃないでしょうか。
いやわかんない。わかんないですけど。
そういう想像とか解釈とかが膨らんでいくのもすごい良かったです。
メディアミックスの醍醐味ですね。
Fling Posseに関してはよかった。めちゃくちゃ良かった。だけどさ〜〜。ヨコハマディビジョン・MAD TRIGGER CREWはさ〜〜。これ、どうなんだろう。ヨコハマ推しの方々的にはどうですか。
私(原作ドラパが大大大大大好き)はめちゃくちゃ不満です。
どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!(以下DHvsBB)はもちろん、続くBad Ass Temple vs 麻天狼(以下BATvsM)も現場で観劇したのですが、その際、邪答院仄仄が最後まで登場しなかったのめ〜〜っちゃショックでした。
何回も言うけど、原作ドラパが大好きだから。
スクリーンに原作絵が映し出されて声だけ登場するかと予想していたのですが、その仄仄が、影も形もなかった。
ということはつまり、舞台ヒプノシスマイクでは斑猫鶺鴒も南風原鶚も一二鶲も登場しないのでしょう。
それはわかっていました。
それは良いよ。良いんだよ。
でもさ〜〜。まさか乙統女さまや合歓ちゃんまでカットされるとは思わないじゃん。
カットっていうか原作改変でしたね。大幅にストーリーが変更されてた。
原作では、合歓ちゃんは兄である左馬刻を逮捕しようとしてヨコハマの3人の前に現れます。しかしこの時の左馬刻の呼びかけによって、合歓ちゃんにかけられていたマインドハックが解かれるのです。
それでも合歓ちゃんは自分の意志で言の葉党に残ることを選び、そして左馬刻はそれを了承します。
あの過保護な左馬刻が。シスコンこじらせて友人でさえも許さなかった左馬刻が。
合歓という妹の「巣立ち」を受け入れるのです。
それは「成長」にほかならない。
観たかったな〜〜〜〜〜〜!?
この辺りはなんか、、ゴニョゴニョって改変されてました。なんかよくわかんないけどわかんないうちに合歓ちゃんのマインドハックは解けてて、碧棺兄妹は一度も言葉を交わすことなく、「〜のようだ」「〜らしい」みたいな推測と伝聞だけで和解を果たします。
お、おう。そうか……。良いのかそれで。
私(原作ドラパが大大大大大好き)は嫌だが……。
DHvsBB、それからBATvsMを観て、2ndステは「本音でぶつかり合う」を主題にしてるのかな〜と思いました。
でも、Fling Posse vs MAD TRIGGER CREW(以下FPvsMTC)って、どうあがいてもvs中王区なんですよね。内容。2ndバトルのドラマトラック(投票権がついてたやつ)ではなくてbeforeと題された方で、左馬刻と乱数がラップバトルしてた程度なんです。
だから、男たちに「本音でぶつかり合う」ラップバトルがさせられん!!!!!!!
その観点から、ある程度改変はあるだろうなと予想していました。女性キャラは出せない、事件の犯人キャラも出さない、そしてクライマックスに「キャラクターたちのラップバトル」。そのためには改変するしかない。
実際、ヒプステFPvsMTCでは、ニセ乱数が幻太郎と帝統を襲っているところに左馬刻が乱入する、という形で「男たちが本音でぶつかり合う」絵面を実現させていました。
ん〜〜〜〜〜〜。
しゃーない。この点に関しては私が期待しすぎた。たぶん、最初のDHvsBBが奇跡だったんでしょうね。うん。わかった。
こんなふうにめちゃくちゃ納得いかない部分はあるんですけど、でも、全体的にはめちゃくちゃ楽しかったです。ヒプステはライブ。
そう、ライブ!!!!!!!!
Rep Liveはとりあえずオオサカのは行きます。何がなんでも。あとBoPも行く。それ以外は現場は無理なので配信になるけど。
楽しみだ〜〜。ヒプステのライブ大好き。
冒頭で述べていた水江くんですが、上記の通り、出番ほぼなかったんですよ、銃兎。だからあんまり印象に残ってない。
原作の銃兎って、体育会系で負けず嫌いで出された激辛ラーメンをキレながら完食するような漢気にあふれた奴なんですけど、ステの銃兎は(おそらく水江くんの性格が影響して)めちゃくちゃテンション低いじゃないですか。
だけど、水江くん、今回は声を荒げたりテンション高く動いたりしてがんばってた。えらい。
チケットが当選さえすれば、刀ミュ新作公演の現場に入る予定です。チケットが取れれば。
水江建太の山姥切長義、生で観せてくれ〜〜〜〜〜〜!頼む。
*1
もちろん一番好きなのは推しディビであるオオサカディビジョン・どついたれ本舗のドラマトラック(AsBA!!!!!!!!!!!)なんですけど、次に好きなのがFling Posseのドラマトラック『Catch Us If you can』なんだ〜〜。。
*2
ちなみに、天谷奴零は、主人公・山田一郎たちの父親です。
その辺は原作ドラマトラックよりもヒプステの方がめちゃくちゃ色濃く描いてくれたので、絶対絶対観てください。後生だから。
*3
乱数と寂雷の出会いや決別についてはコミカライズで詳しく描かれています。
*4
乱数のもつ「人間コンプレックス」、ヒプステではTrack.2のころから丁寧に掘り下げてました。
Track.2における乱数は悪役で、舞台オリジナルディビジョンの鬼瓦ボンバーズから麻天狼との記憶を奪うのですが、その引き金を引いたのも寂雷の心ない言葉でした。
Track.5では過去編が描かれましたが、ソロ曲で「心と心、そういうこと?」と歌っています。
迷い、怒り、悔しさ。そして、寂しい。寂しいんだよ乱数は。「造られた存在」だと言われた。「俺は偽物?」「じゃあ本物って何?」。迷いはやがて、「人間であることがそんなに偉いのかよ」という怒りへ変換されます。
*5
コミカライズによって、乱数のあの性格は、中王区外で知り合った「はじめての友人」を真似たものだと明かされています(12話)。
ニセ乱数たちが乱数みたいな性格なのは、彼らは(ポッセリーダーの乱数とは違い)その乱数をクローン元としてるのかな、と今回の舞台を観て思いました。
じゃあ、ポッセでリーダーを務める飴村乱数は、いったい何をクローン元としているのか。
私は「山田兄弟の母親(零の妻)の幼少期の姿」だと推測しています。
だって作ったの零だよ。しかも、おそらくは中王区の命令ではなく、彼自身の目的のためにクローンを作っている。じゃあ妻(山田母)なんじゃないかな、と。
母親と瓜二つなら一郎がなんの反応も示さないのはおかしいけれど、乱数が、母親の幼少期を模しているのならどうでしょう。みんな知ってる?親の小さい時の顔。知らんよね。一郎も当然知らないと思います。
乱数ってどう見たって成人男性じゃないじゃないですか。わざわざ「こう見えても成人男子さ」とさえ歌っている。あやしい。
完全に私の推測ですが、零が妻のクローンを作っている際、誤って男性体にしてしまったのが乱数だと思います。しかも、どれだけやっても、第二次性徴期手前で成長を止めてしまった。んだと思う。長くは生きられない、って、そういうことな気がしてます。
ちなみになんですけど、乙統女さまは本当に何も知らないと思います。
だって真正ヒプノシスマイクでマインドハックしたらアビリティが消えることさえ知らなかった(コミカライズ情報)んだよあの人。そんなことある?
マイクもクローンも零が自分自身の目的のために行った研究で、乙統女はそれに資金提供していただけ。そしてマイクの権利を独占しただけ。だと思います。
もちろん、零の「目的」はストレートにシンプルに「妻を生き返らせること」「妻との“約束”を守ること」で良いと思います。ヒプマイくんこの辺捻らないイメージある。妻との“約束”は「世界から争いをなくす」でしょうね。
(約束云々については零のキャラクター紹介文からの推測です。「約束」は「必ず守る」…。ふ〜〜ん…。)
ニセ乱数を「今の」乱数をコピー元にしたのは零。だとすると、なぜそうしたのか。
零の中では妻のクローンが乱数、というその図式さえなかったことにしたいのかな〜と思いました。
「妻との約束(=世界から争いをなくす)を守る」ために、乙統女にヒプノシスマイクを渡し、「欲しいものを掴み取るにはマイクを使うしかない」という常識を植え付けるために彼女が開催した「ディビジョンラップバトル」にオオサカディビジョンから参加する。
一方、「妻を生き返らせる」という目的については、とっくに諦めているような気がします。不可能だもんな。
ここだけ別で記事書けばよかったのではというボリュームになってしまった。
読んでくださってありがとうございました!