青春は痛い、痛いから美しい[舞台ブルーピリオド感想]

 

今回は最初から現地での観劇は諦めていました。早朝から飛行機乗ってマチネ観て最終便で帰る、って無茶ができるキャパが残ってなかった。関東に住みてえ〜〜!無理だけど!

 

なので、配信での視聴の感想です。

 

 

今回の作品もバナナフィッシュと同様、未読の漫画が原作だったので、推しが主演を務めると解禁されてから読みました!

 

私は高校に行ってないので(入院してたので)(ちなみに高認を取ってから大学進学・卒業しました)、

青春、とくに10代の子たちの青春をファンタジーのようにとらえているふしがあります。そして、ブルーピリオドはダークファンタジーでした。

青春なんだけど、痛い。ぐさぐさと刺さる。青春の持つ狂気と悲嘆という側面を、鋭く描き出していると感じました。

 

ぐさぐさと刺さったのは、八虎くんが自分と重なる部分が大きいキャラクターなのもあったかもしれない。私は間違いなく、溺れてる人がいたら救命道具を持ってきて助かるまでそばにいるタイプです。(*1)

ユカちゃんのその例えでいうと、岡宮来夢くんはなんとなく、一緒に溺れてくれそうなタイプだな、って思いました。

 

くるむくんも八虎くんもどこか似ているというか、はっきり言うと「不自然なくらい良い子」じゃないですか。sparkle vol.47で、笹森くんから「周りに気を遣って、空気を読む感じ」を共通点として挙げられたと仰ってましたね。(*2)

でも、同じ「良い子」でも、ベクトルが違う気がしていたのです。八虎くんは処理をしたうえで周りに気を遣っているんだけど、くるむくんはどちらかと言うと、反射でやっている感じがしてます。いちオタクの勝手な意見です。八虎くんが頭で考えて空気を読んでいるのに対して、くるむくんは肌で感じて空気を読んでいる印象。繰り返しますが、いちオタクの勝手な意見です。

だけど、だから、くるむくんが演じることで、八虎くんの「"不自然な"くらい良い子」なところが、説得力を持って提示されるんじゃないかな、と期待していました。

 

期待してたんですよ。

八虎が母親に絵を渡すシーンぼろぼろ泣いたが………………?やば。やられた。

このくるむくんを生で観たかった……!っていう悔しさでいっぱいです。今。

 

くるむくんのこういう、こういう、「役を生きている」演技が本当に本当に大好き。

5Gハムレットの感想記事でも書いたんですけど、くるむくんが演じると、そのキャラクターに親しみやすさが生まれて感情移入しやすくなる気がしていて。

私は原作の八虎にシンパシーを抱いていたので、そのぶんにくるむくんの演技が加算されて、もう大変なことになりました。感情が。

そうだよね、八虎は絵を描いて初めて自分のことが話せたんだよね、理解してもらえたんだよね、だからそれをもっと知りたくて美術の道に進みたいんだよね、、わかるよ〜〜〜!って興奮してます。もうほんと。ほんとにそう。

 

ただ、一点だけ。

少しがっかりした点もありました。

私、原作の、八虎とユカちゃんがお互いぶつかり合って、自分のヌードを描いて見せ合うエピソードが大好きなんですよ。あのシーンの、ユカちゃんに対してだけ八虎は一度自分を剥き出しにした、腹を割って中身を、自分の熱を見ることができた、っていうのがすごいすごい大好きで

てっきり、あれをクライマックスに持ってくるんだな!と思って、しかもユカちゃん役は笹森裕貴くんだし!ってすごい楽しみにしてたんですけど、ア、なかった。でも二次課題はヌードのまんまでしたね。そっかあ、って思いました。ちょっと説得力に欠ける気が。ウン。ごめんなさい〜〜!吐き出し。

 

でもすごい全体的によかったです!

現場で観たら音と光も華やかできらびやかで、より没入できたんだろうな。

続編があったら、今度こそ観に行きたいなあ。スケジュールなんとかする。藝大編のがヒリついててしんどいお話なので、演劇にするにはどうなんだろう、とは思うのですが。

 

 

*1

(自分語り注意)

入院してた頃仲良くなった子が摂食障害で、退院してしばらくは二人でよくビュッフェに行きました。食べた後、彼女がトイレにこもるのを待ってました。それからしばらく経って、「あの時もう食べるのやめなって言わないでくれてありがとう」と言われました。社会福祉士としての価値観の基礎になった経験の一つです。

ユカちゃんはあの時、一緒に溺れてほしかった、一緒に過食して嘔吐してほしかったのかもしれないけど、寄り添ってほしい人もいるし、人それぞれですよね。

 

 

 

*2

sparkle vol.47

 

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