ありがとう、舞台ヒプノシスマイク

BoP観てきたよ。

 

 

(以下、自分用の記録です)

 

 

 

621日、舞台ヒプノシスマイクの、キャスト全員卒業が発表されました。

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ヒプノシスマイクが大大大大大好きなので、ヒプステにもめちゃくちゃ通いました。推し(岡宮来夢くん)が出演しているわけでもないのに

 

オオサカvsイケブクロ

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ゴヤvsシンジュク

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シブヤvsヨコハマ

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ヒプノシスマイクのあらすじを下記にまとめています)

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ライブだから感想記事は書かなかったけど、オオサカディビジョンのRep Liveにも行ったんだよ。3回観た。大好きだから。

 

その、ヒプステが、キャスト全員卒業

公式サイトの書き方やキャスト・スタッフのツイートなど(*1)から、今後は未定なんだろうなと察してました。

 

なので、最後はどうしても、大好きな夫と現場で浴びたいと思い、9/8夜公演を二人で観に行きました!(*2)

(会場で撮り忘れたので自宅で撮りました)(なので娘もいる)

 

「ごっつええトリオ」で荒牧慶彦さん演じる白膠木簓が出てきた瞬間、わァ…………ってなって……。泣いちゃった!!!

その日の回替わりは「ショートコント『BoP』」だったんですけど、めちゃくちゃ面白いのにそれ観ながら涙が止まんなくてアッこれ最後なんだって……なって

今まで簓と盧笙の二人でやってたじゃないですか。オオサカ名物回替わり漫才(今回はコントだったけど)。

それがさ〜〜2ndDRBを経て「ごっつええトリオ」になったんだよ。だから「超RAP劇」じゃないわけ。ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜。

終演後夫と二人で語ってるときに「あのくだりで〜」って言われても、え?なんだっけ?って何回かなった。途中途中記憶飛んでて泣いてたから……

 

でも、一回めちゃくちゃ泣いたことで自分の中で悲しいって感情に整理がついたのか、だんだん純粋に楽しめるようになりました。

楽し楽しんでたというか……なんか最終的に「ありがとう」しかなくなってた。途中から。

 

私はそもそも加藤大悟くんめっちゃ良いじゃん!でヒプステTrack.3を観てヒプノシスマイクにハマったオタクなので、もうなんかだめだった。

加藤大悟くん演じる四十物十四のソロ、ナゴジュク本公演の現場でも泣いたんですけど、今回も当たり前に泣きました。加藤大悟にバラードを歌わせないでほしい。嘘。いっぱい歌って。

なんかもう……聴きながら、大悟くんに対して「あなたのおかげで私はヒプステを観てヒプノシスマイクにハマったんだよ本当にありがとう……」みたいな気持ちでいっぱいになった。怖すぎ。連れてきてくれてありがとう(??????)。

 

全員卒業がつらすぎて、ネタバレを避けてるつもりはまったくないけどSNS断ちしてたので、今回ソロがあることも知らなくて。。

レプライ、オオサカは行ったんだけど、本当はナゴヤもチケットは取ってて、でも断念しちゃったので……もう生では観られないんだと思ってたから十四ソロ最後に聴けて良かったありがとう……

 

Track.5のノバス曲・MCD曲も、アレだと映像だったからご本人登場するって思ってなくて廣野凌大くん演じる波羅夷空却が出てきたとき、ありがと〜〜〜!!!!!!しかなかった。

廣野くんと(一郎役の)高野くんの関係性ってめちゃくちゃ空却と一郎まんまじゃないですか???????

だから絶対絶対この二人でノバス曲観たかったんだけどでも全員卒業だから叶わないんだて思ってて……叶ったが。ありがとう………………………………………

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あと、Track.5を配信でしか観られなかったので(上演中はヒプマイ自体知らなかった)、「King of Kings」を生で観られたのもブチ上がっちゃった。

 

youtu.be

 

ハマりたてのころ最初の最初はYouTubeで動画みてて、そしたらKing of Kingsのトレーラー(上のやつです)が出てきて、エッKoKってあの!?日本で一番有名なMCバトル……!!?ってワクワクしたんですよ。(*3)

で、原作の方の(声優さんが歌ってる)「T.D.D Legend」聴いて、ワーッ!「たった今MCバトルを制した伝説のチーム」………ッッッ!「たった今MCバトルを制した伝説のチーム」じゃん!!!!!!!って思って

大好きな曲だったので、これも生で観られてめ〜〜っちゃうれしかった。最後に。ハァ最後なんだなあ………

 

 

 

翌日マチネは一人で行ってきた!

Bブロック2列目とかいう最高の席だったので、最高でした。ありがとう。

 

その日のオオサカの回替わりコントは「ボケ・ツッコミの役割を変えようと提案する簓、とりあえず乗っかる盧笙と零」でした。

簓(荒牧さん)が、「自分は(ボケじゃなくて)カッコつける役割をする」みたいに言い出してカッコつけてみせたんですけど(そして荒牧慶彦なのでめちゃくちゃかっこよかったんですけど)、

そこで左馬刻の真似してて、それだけで面白かったのに、カテコで回収してくれて、、荒牧慶彦〜〜〜!!!!!!!て思いました。ハァ。

ずっとみていたかったよ。荒牧さんの簓。。

そりゃ天下の荒牧慶彦なのでいつまでも演じてくれるわけがないってキャス変は覚悟してたけど、、でもさあ、、こんな………。

話が逸れました。カテコで簓(荒牧さん)が「Battle of Pride」の大サビ前の左馬刻のパートを歌って、

そしたら零(郷本さん)が一郎のパートを歌う被せボケしてきて……ありがとうってなっちゃったな

一郎(高野くん)が「クソ親父」ってキレててそれも含めて最高でハァ……

 

オオサカ推しなので、どついたれ本舗を演じてる三人(荒牧慶彦さん・里中将道さん・郷本直也さん)がみんな「俺が一番ウケてやる!」みたいな意気込みで笑いを取ろうとしてくるの、ほんと〜〜に本当に大感謝で

書いてて涙出てきた……

ハマったのが去年2だったので、前任の東山さんの零を映像でしか知らないんですけど、でも、「2ndディビジョンバトルを経てトリオになった『どついたれ本舗の天谷奴零』」は郷本さんがピッタリだったんじゃないかなって思います。空気感とか笑いに対して全力なとことか……付き合いが良さそうなとことか「縁を深めたあとのどついたれ本舗」なんだよあの三人は……。ハァ

 

あとさ〜〜〜〜〜センステで「Let It Bleed」「Bright & Dark」「三心同体」やってくれるのありがとうしかないんだけど〜〜ありがと〜〜〜〜〜〜〜。

ディビジョンバトルを模した演出、本公演から大大大大大好きだったんだけど、それを今回のBoPではメインステージから一人ずつ移動してマイク握って向かい合って最高……ありがとう………

私はほんっっっと〜〜〜〜〜〜に2ndDRBが大好きで原作ドラパもコミカライズ(*4)もめちゃくちゃ聴いてるし読み込んでるんですけど、、ハァ、、、ありがとう最後にそれを“““再現”””してくれてありがとう……

絶対この映像は走馬灯に出てくる。

 

観てからずっと、ありがとう(祈り)(大感謝)(クソデカ溜息)を繰り返しています。

どうしてこの最高をもう二度と味わえないんですか????????

 

オオサカ推しなんですけど、それ以上に「ヒプノシスマイク」っていうコンテンツを愛してるので、卒業前にイケブクロの優勝が実現してその曲を生で観られたのもほんっと〜〜にありがとう……(*5)

 

ヒプノシスマイクを愛しているファンの一人にとって、舞台ヒプノシスマイクはたくさんの「これが観たかった」を実現してくれたコンテンツでした。バトル曲のビーフ応酬とか。。

本当にありがとうございました。永遠に愛してる。

x.com

あの何年でも待つので……できれば今のキャストとスタッフそのままでおかえりBoPしてほしいなって思います……。

 

 

 

 

*1

演出の植木豪さんがインライで「(全員卒業は)俺も悲しい」「Mix Tapeを見せたかった」みたいに仰っていたので、今後は未定の状態なんだろうな〜と思っています。

亀田さん(脚本)やナカサチさん(衣装)のツイート見ても(本当に終わったんだ)って思いました。大楽でも何もなかったもんな。情報解禁。

ミクステなんて昨年夏に全公演中止になって、曲も演出もダンスも付けててキャストさん達は稽古済みの状態なのに、それでも全員卒業ってことはねえ……。うん

ほんっと〜〜に何年でも待つのでおかえりBoP待ってます今のキャストとスタッフでお願いします………………

x.com

 

*2

三人で飛行機に乗って二泊し、二人で現場入ってる間、娘は託児所で待っててもらいました。

ここです

kidsroom-rubberduck.com

(地元の病後児保育以外の)一時預かりというのを初めて利用したのですが、めちゃくちゃ良かったので、なんか今後観劇したいけど未就学児は連れて行けないなって時に利用したい〜!

来年は夫とムーランルージュ観に行こうねって話してるので、高島屋のナーサリールームを利用する予定。です。

 

*3

MCバトル、簡単に言うと、プロレスをラップでやってるみたいな感じ。です。(ざっくりしすぎ)

KoKについてはこちら

kokjapan.com

KoKを立ち上げたラッパー(漢 a.k.a. GAMIさん)と、所属事務所の社員だったラッパー(晋平太さん)がフリースタイルダンジョンでラップバトルしてたりします。ヒプノシスマイクみてえ〜!

ちなみに、日本一有名なライム「東京生まれ🎶ヒップホップ育ち🎶」は「Grateful Days」のリリックなのですが、これを共作した二人(kjさんとZEEBRAさん)は、ZEEBRAさんが「公開処刑」という曲でdisったことに端を発し、仲違いしています。一郎と左馬刻みてえ〜〜〜。

 

T.D.D Legend」、まじで良い。たった今MCバトルを制した伝説のチームがいる

spotify.link

ステ版の「King of Kings」は上記をサンプリングしています。

 youtu.be

 

*4

コミカライズではディビジョンバトルがガッツリ描かれてます。

オオサカ推しなんですけど、城キイコ先生版コミカのナゴvsジュクが最高最高最高すぎてこれだけで一記事語れるし、原作ドラパの帝統くんの「最強最高のポッセだぜ!」でも一記事語れる。

ナゴvsジュクのバトル曲「Bright & Dark」だけ、大サビのビーフ応酬が二番手から始まるんですけど(サカvsブクロとシブvsハマは三番手から)、そのおかげで「獄に攻撃する寂雷」「それを庇う空却」っていうまんまが実現しててありがとうしかない。

Bright & Dark - song and lyrics by ヒプノシスマイク -D.R.B- Rule the Stage (B.A.T VS M All Cast) | Spotify

palcy.page.link

コミカライズ(上のやつです)で描かれたナゴvsジュク戦は、「攻撃から二人を守って立ったまま気絶する空却」「それを見て奮起しアビリティを発動する十四」「最後は獄vs寂雷」っていう““良さ””が詰まってるので、みんな読んでくれよな。このままだとこの注釈が本編になっちゃうから……

ファンが推し疲れるだけなので、バトルの勝敗で展開が変わる(かのように謳う)仕組みはもう変えた方が良いと思います。

内容が良すぎるから、それをちゃんと聴いたり読んだりしたら投票先もおのずと左右されるのに、でも課金バトルに参加を強いられて疲弊して、そのせいで内容の良さが波及しないの、本当にもったいない。。

(もし仮に、私がヒプステを履修したのがバトル期間だったとしたら、あまりにもギスギスしてるから、内容の面白さに気づく前に作品ごと距離置いてただろうな…)

 

*5

ステ版の2ndDRBではオオサカに投票したんだけど(原作の方は当時未履修だったのでバトル参加してません)、イケブクロが勝つんだろうなとは思ってた。

だって私も決勝ではブクロに入れたし…(シブヤが敗退したなら2ndDRBはブクロが勝つべきだと思ってるから)。

オオサカは天谷奴零を擁している以上、徹底的にヒールじゃないですか。チームメンバーが捨てた息子たちと対戦して、勝てるわけないんだよ。いろんな意味で。

コミカでは、「余力はあるものの息子の成長を認めて膝をついた天谷奴零」が拝めるので、みんな読んでください。

pocket.shonenmagazine.com

 

 

 

 

[ミュージカル『SPY×FAMILY』感想]岡宮来夢、喜劇の才能もあった…

 

(キャッチーさ優先のタイトルにしてみました)

 

行ってきました〜〜〜!人生2度目の帝国劇場!!!!!!!

 

 

私が観た回のキャストさんはこちら。

 

 

すっっっごい面白かったです!!!

そもそも、グランドミュージカル=生オケという時点で100000000点!と思っているオタクなのですが、今作はその良さを存分に活かしてた。最高。

しかも世界観というか舞台が20世紀末のドイツじゃないですか。スパイファミリー。ヨーロッパとオーケストラは最高のマリアージュなので…。めちゃくちゃ良かったです。

くるむくんの歌もすごい良かった〜〜!

 

私はしんどくなりたいので、悲劇の方が好きなんですが、でもさ〜〜。薄々わかってはいたけど…。

岡宮来夢くん、コメディの才能がめちゃくちゃある。っていうのを実感しました。

内容的には悲劇の方が好きだけど、でも、くるむくんの喜劇の演技も大好きだから…喜劇もいっぱい出てほしい…と思いました。ワガママなオタク。

 

くるむくんユーリの「姉さん何て淫らな…ッ!」のシーンで一番笑いが起きてたの、すっっごい誇らしかった〜〜。めちゃくちゃうれしかったです。

くるむくんも、客席の笑い声を聞いて演技がどんどんイキイキとしていって…。あ〜〜くるむくんってコメディの申し子だあ〜と思った。

 

キャスト解禁の時から絶対合う!早く観たい!と思ってたんですよ。

くるむくんのツンデレムーブなんて一度も観たことなかったけど、「姉さん姉さん!」「お前を認めない!」、想像しやすかったですもん。絶対合うと思ってた。わかってた。

実際に現場で観たら、ま〜〜本当に合う。想像以上でした。

めちゃくちゃ良かったです。ユーリ。良すぎてアクスタ買いました。

 

 

今までで一番好きだな、ユーリ役…一番ハマってた……。いや英二もハムレットも良かったので…この3人!この3人がベスト!!!!!

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アーニャ役が子役ちゃんたち四人なのもすごい良かったなと思いました。

まず、小さい子が動いたり歌ったりしてるのって、それだけで可愛いじゃないですか。人間の本能だからさそれはさ。

スパイファミリーの魅力の7割はアーニャの可愛らしさと言っても過言ではない!というくらい、アーニャ役を誰がどう演じるのか、作品にとって重要だと思います。

大人が演じるとどうしてもわざとらしかったりあざとかったりして違和感が出そうなセリフでも、子どもが演じたら可愛いんですよね。すごい。すごいよキャスティング。

ちなみに私が観た回のアーニャは、「謙信」こと福地美晴ちゃんでした。

 

いちばん右の子が美晴ちゃんです。かわいかった〜〜!「アーニャ🎶ピーナッツが好き🎶」って歌がずっと耳に残ってる。

本当に、子役ちゃんたち四人が何事もなくそれぞれの大千秋楽を迎えられますように…!

いや子役ちゃんたちだけじゃないですね。キャストさん、スタッフさん、全員で駆け抜けてほしい。祈っております…。

 

 

(付記)

実はこの日、コンタクトも双眼鏡も忘れるという大失態を犯していたため、メガネで観劇してました。

一階席最後列の真ん中だったので、全体を観るには問題なかったのですが、肝心の表情……!私は観劇する際にくるむくんの感情表現に重きをおいているのですが、これでは、感情が、わからない!!!

一部と二部の間の休憩時間に、あわてて双眼鏡を買いに行きました。ありがとう帝国劇場。売店が豊富。

でも、知らなかったんですけど、メガネの上から双眼鏡って使えないんですね。まじで知らんかった。

なので、メガネで観劇しつつ、くるむくんの顔がみたい!と思ったらメガネをスッと上にあげて双眼鏡を挟み込む、というスタイルで観劇しました。必死だったよ。

 

それと、もう一つ。

個人的にうれしかったのが、また朝夏まなとさんを観られたこと

おととし、王家の紋章で私が入った回は朝夏さんのアイシスだったんですよ。

当時の思い出にはどうしても悲しい気持ちが混ざっていて…。なので今回、くるむくんと朝夏さんが帝国劇場で共演するのをもう一度観られて、すっごくすっごくうれしかった。良い思い出に書き換えられました!

 

あーー本当によかった。

いろんな意味で大満足の舞台でした!

造られた存在が手に入れた「本物」のポッセ[ヒプステFPvsMTC感想]

 

 

スパイファミリー観劇の前日は、水道橋でヒプステ観てました!水江建太くん!!!!!!!!バナステ前編ぶり!!!(後編は中止で観られなかったので)

 

今回の公演から声出し解禁されたんですけど、コロナ禍以降2.5次元舞台というジャンルを観劇するようになったので、全然わかんなかった。なんか周りに合わせてワァーッ!て手を叩いてました。わかんなさすぎて。

 

で、内容。

 

そもそも私は原作のドラマトラックが大好きなんですよ。

1stバトルシーズンはともかく)2ndバトルシーズンに出たドラマトラック、全部良い。全部好き。(*1)

Fling Posseのドラマトラック『Catch Us If you canでの、帝統の「最強最高のポッセだぜ!」ってセリフ(2:58)が大好きすぎて、アレを生で聴くのを楽しみにしてたので

な、ない??????てめちゃくちゃショックを受けました。なかった。

 

 

でもその分、「飴村乱数」というキャラクターについてはめちゃくちゃ掘り下げられてました。

ヒプステ、乱数の「人間コンプレックス」を描くのがめちゃくちゃうまい。

 

Fling Posseのリーダー・飴村乱数は人間ではなくて、(どついたれ本舗の一員である)天谷奴零によって作られたクローンです。(*2)

 

彼はクローンでありながら、「ポッセ(=仲間)」をいつも求めていました。

最初に組んだ神宮寺寂雷とは中王区の命令によって決別するのですが(*3)、その際、寂雷が乱数に言い放つのです。

造られた存在の君が……なぜ私に近づいたんだ?」

(寂雷も寂雷でクローン乱数に大事な存在を昏睡させられた直後なので仕方ないセリフなんです。切ねえ〜〜〜。)

このことが乱数に大きな影を落としました。

 

ヒプステこと舞台ヒプノシスマイクはこの乱数のこの感情を描くのがめっっっちゃくちゃ巧い。うますぎ。(*4)

「造られた存在」「俺は偽物?」「じゃあ本物って何?」「人間であることがそんなに偉いのか」。

迷いや怒り、悔しさ。そして、寂しい。乱数は寂しかった。

ずっと「ポッセ」を求めていた。

かつて「空寂ポッセ」だった寂雷によって投げられ深く刺さった言葉のナイフは、しかし、今の「ポッセ」が抜いてくれます。

 

「俺はクローンだ」という乱数に対して、帝統は「そんなの関係ねえ」と言ってのけます。

人間ではないことと、三人がダチであることにはなんの関係もない。本当それ〜〜!本当にそう!!!!!なんですけど、乱数にはそれが、どんなに得難い幸福だったか

 

「最強最高のポッセだぜ」はなかったけど、その分、乱数が今のポッセにどれだけ救われたのか、めちゃくちゃ丁寧に描いてくれてありがたかったな。ありがとう舞台ヒプノシスマイク。

 

飴村乱数というキャラクターの理解が深まっような気がします。

ニセ乱数たちが乱数みたいな性格してるの、すごい謎だったんですけど(*5)、もしかすると、ニセ乱数たちって、乱数とはクローン元が違うのかもしれない、と思いました。

なにかを元にして作られたクローンが、飴村乱数。

その飴村乱数をクローン元としてコピーしたのがニセ乱数たちなんじゃないでしょうか。

いやわかんない。わかんないですけど。

そういう想像とか解釈とかが膨らんでいくのもすごい良かったです。

メディアミックスの醍醐味ですね。

 

 

Fling Posseに関してはよかった。めちゃくちゃ良かった。だけどさ〜〜。ヨコハマディビジョン・MAD TRIGGER CREWはさ〜〜。これ、どうなんだろう。ヨコハマ推しの方々的にはどうですか。

私(原作ドラパが大大大大大好き)はめちゃくちゃ不満です。

 

 

どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!(以下DHvsBBはもちろん、続くBad Ass Temple vs 麻天狼(以下BATvsMも現場で観劇したのですが、その際、邪答院仄仄が最後まで登場しなかったのめ〜〜っちゃショックでした。

何回も言うけど、原作ドラパが大好きだから。

スクリーンに原作絵が映し出されて声だけ登場するかと予想していたのですが、その仄仄が、影も形もなかった。

ということはつまり、舞台ヒプノシスマイクでは斑猫鶺鴒も南風原鶚も一二鶲も登場しないのでしょう

それはわかっていました。

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それは良いよ。良いんだよ。

でもさ〜〜。まさか乙統女さまや合歓ちゃんまでカットされるとは思わないじゃん。

カットっていうか原作改変でしたね。大幅にストーリーが変更されてた。

 

原作では、合歓ちゃんは兄である左馬刻を逮捕しようとしてヨコハマの3人の前に現れます。しかしこの時の左馬刻の呼びかけによって、合歓ちゃんにかけられていたマインドハックが解かれるのです。

それでも合歓ちゃんは自分の意志で言の葉党に残ることを選び、そして左馬刻はそれを了承します。

あの過保護な左馬刻が。シスコンこじらせて友人でさえも許さなかった左馬刻が。

合歓という妹の「巣立ち」を受け入れるのです。

それは「成長」にほかならない。

観たかったな〜〜〜〜〜〜!?

この辺りはなんか、、ゴニョゴニョって改変されてました。なんかよくわかんないけどわかんないうちに合歓ちゃんのマインドハックは解けてて、碧棺兄妹は一度も言葉を交わすことなく、「〜のようだ」「〜らしい」みたいな推測と伝聞だけで和解を果たします。

お、おう。そうか……。良いのかそれで。

私(原作ドラパが大大大大大好き)は嫌だが……

 

DHvsBB、それからBATvsMを観て、2ndステは「本音でぶつかり合う」を主題にしてるのかな〜と思いました。

 

でも、Fling Posse vs MAD TRIGGER CREW(以下FPvsMTC)って、どうあがいてもvs中王区なんですよね。内容。2ndバトルのドラマトラック(投票権がついてたやつ)ではなくてbeforeと題された方で、左馬刻と乱数がラップバトルしてた程度なんです。

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だから、男たちに「本音でぶつかり合う」ラップバトルがさせられん!!!!!!!

 

その観点から、ある程度改変はあるだろうなと予想していました。女性キャラは出せない、事件の犯人キャラも出さない、そしてクライマックスに「キャラクターたちのラップバトル」。そのためには改変するしかない。

 

実際、ヒプステFPvsMTCでは、ニセ乱数が幻太郎と帝統を襲っているところに左馬刻が乱入する、という形で「男たちが本音でぶつかり合う」絵面を実現させていました。

ん〜〜〜〜〜〜。

しゃーない。この点に関しては私が期待しすぎた。たぶん、最初のDHvsBBが奇跡だったんでしょうね。うん。わかった。

 

こんなふうにめちゃくちゃ納得いかない部分はあるんですけど、でも、全体的にはめちゃくちゃ楽しかったです。ヒプステはライブ。

そう、ライブ!!!!!!!!

 

Rep Liveはとりあえずオオサカのは行きます。何がなんでも。あとBoPも行く。それ以外は現場は無理なので配信になるけど。

楽しみだ〜〜。ヒプステのライブ大好き。

 

 

冒頭で述べていた水江くんですが、上記の通り、出番ほぼなかったんですよ、銃兎。だからあんまり印象に残ってない。

原作の銃兎って、体育会系で負けず嫌いで出された激辛ラーメンをキレながら完食するような漢気にあふれた奴なんですけど、ステの銃兎は(おそらく水江くんの性格が影響して)めちゃくちゃテンション低いじゃないですか。

だけど、水江くん、今回は声を荒げたりテンション高く動いたりしてがんばってた。えらい。

 

チケットが当選さえすれば、刀ミュ新作公演の現場に入る予定です。チケットが取れれば。

水江建太の山姥切長義、生で観せてくれ〜〜〜〜〜〜!頼む。

 

 

 

 

 

 

*1

もちろん一番好きなのは推しディビであるオオサカディビジョン・どついたれ本舗のドラマトラック(AsBA!!!!!!!!!!!)なんですけど、次に好きなのがFling Posseのドラマトラック『Catch Us If you can』なんだ〜〜。。

 

 

*2

ちなみに、天谷奴零は、主人公・山田一郎たちの父親です。

その辺は原作ドラマトラックよりもヒプステの方がめちゃくちゃ色濃く描いてくれたので、絶対絶対観てください。後生だから。

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*3

乱数と寂雷の出会いや決別についてはコミカライズで詳しく描かれています。

kc.kodansha.co.jp

 

 

*4

乱数のもつ「人間コンプレックス」、ヒプステではTrack.2のころから丁寧に掘り下げてました。

hypnosismic-stage.com

Track.2における乱数は悪役で、舞台オリジナルディビジョンの鬼瓦ボンバーズから麻天狼との記憶を奪うのですが、その引き金を引いたのも寂雷の心ない言葉でした。

Track.5では過去編が描かれましたが、ソロ曲で「心と心、そういうこと?」と歌っています。

迷い、怒り、悔しさ。そして、寂しい。寂しいんだよ乱数は。「造られた存在」だと言われた。「俺は偽物?」「じゃあ本物って何?」。迷いはやがて、「人間であることがそんなに偉いのかよ」という怒りへ変換されます。

 

 

*5

コミカライズによって、乱数のあの性格は、中王区外で知り合った「はじめての友人」を真似たものだと明かされています(12話)。

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ニセ乱数たちが乱数みたいな性格なのは、彼らは(ポッセリーダーの乱数とは違い)その乱数をクローン元としてるのかな、と今回の舞台を観て思いました。

 

じゃあ、ポッセでリーダーを務める飴村乱数は、いったい何をクローン元としているのか。

私は「山田兄弟の母親(零の妻)の幼少期の姿」だと推測しています。

だって作ったの零だよ。しかも、おそらくは中王区の命令ではなく、彼自身の目的のためにクローンを作っている。じゃあ妻(山田母)なんじゃないかな、と。

母親と瓜二つなら一郎がなんの反応も示さないのはおかしいけれど、乱数が、母親の幼少期を模しているのならどうでしょう。みんな知ってる?親の小さい時の顔。知らんよね。一郎も当然知らないと思います。

乱数ってどう見たって成人男性じゃないじゃないですか。わざわざ「こう見えても成人男子さ」とさえ歌っている。あやしい。

完全に私の推測ですが、零が妻のクローンを作っている際、誤って男性体にしてしまったのが乱数だと思います。しかも、どれだけやっても、第二次性徴期手前で成長を止めてしまった。んだと思う。長くは生きられない、って、そういうことな気がしてます。

 

ちなみになんですけど、乙統女さまは本当に何も知らないと思います。

だって真正ヒプノシスマイクでマインドハックしたらアビリティが消えることさえ知らなかった(コミカライズ情報)んだよあの人。そんなことある?

マイクもクローンも零が自分自身の目的のために行った研究で、乙統女はそれに資金提供していただけ。そしてマイクの権利を独占しただけ。だと思います。

 

もちろん、零の「目的」はストレートにシンプルに「妻を生き返らせること」「妻との約束を守ること」で良いと思います。ヒプマイくんこの辺捻らないイメージある。妻との約束は「世界から争いをなくす」でしょうね。

(約束云々については零のキャラクター紹介文からの推測です。「約束」は「必ず守る」…。ふ〜〜ん…。)

 

ニセ乱数を「今の」乱数をコピー元にしたのは零。だとすると、なぜそうしたのか。

零の中では妻のクローンが乱数、というその図式さえなかったことにしたいのかな〜と思いました。

「妻との約束(=世界から争いをなくす)を守る」ために、乙統女にヒプノシスマイクを渡し、「欲しいものを掴み取るにはマイクを使うしかない」という常識を植え付けるために彼女が開催した「ディビジョンラップバトル」にオオサカディビジョンから参加する。

一方、「妻を生き返らせる」という目的については、とっくに諦めているような気がします。不可能だもんな。

 

ここだけ別で記事書けばよかったのではというボリュームになってしまった。

 

読んでくださってありがとうございました!

[進撃ミュ感想]音楽の持つパワーで描く「希望」と「絶望」

 

 

め〜っちゃ遅くなったんですが、「進撃の巨人-the Musical-の感想です!!!

 

 

(くるむくんがエレン!と解禁されてから履修した原作の感想はこちら)

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まずは全体的な感想から。

音楽がふんだん!!!ショー!という感じでした。すごい豪華なので現場でみてよかったな〜としみじみ。

進撃ミュに限らず、植木豪さんの演出は現場で観てこそだと思います。(*1)

 

序盤、民衆の訴えはグランドミュージカルっぽい演出でした。巨人に襲われ、兵団への不満が爆発し、その怒りや悲しみのハーモニーが歌を奏でる

私は岡宮来夢くんのオタクなので、パライソを思い出しました!

 

話が展開されていき、原作と同じように、エレンは兵団に入ります。

その訓練風景がヒップホップで演出されてるのが、ウワーッ!植木豪さんだー!という感じ。ジャン役の福澤侑くんのダンスを生で観られてうれしかったです。

それに何より、くるむくんのバキバキダンス!初めて観たのでテンションあがりました!刀ミュもめちゃくちゃ踊るけど、ヒップホップ系のダンスではないですもんね。初めて観た〜〜!

 

全体を通して、ブルステに似てるなーと思いました。

舞台ブルーピリオドは三浦香さんの演出でしたが、今回、その香さんが作詞のスタッフとして参加されてるんですよね。ほかにも、美術、美術助手、技術監督が同じスタッフさんでした。

だけど、同じスタッフさんが多いから、というよりは、今回の演出の植木さんとブルステ演出の三浦香さんの持ち味が似てるのかな〜と思いました。

魅せ方がうまくて、原作がわからなくても楽しい!と思えるような構成や画作りのような気がします、二人とも。

 

 

お次に内容の感想です。

今回、ミュージカルで描かれていたのは最序盤のみでした。

 

進撃の巨人の担当編集者であるバックさんが、続編を窺わせるかのようなツイートをなさっていました。

 

 

今回、作中でもアニの名前だけは出ていたので、続編には出るんじゃないかな!!と思います。出てくれ〜!観たい。

満を持してアニ・ライナー・ベルトルト、そして、ユミルやクラスタも登場するとして。そうすると、クリスタが女王になるまでやった方が区切り良いし前後編になるのかなあ。

でも、今回が「穴を塞ぐぞ!」で終わったので。原作をどう区切るとしても、脚本の畑雅文さんがきっとうまいことまとめてくれるにちがいない。

(バナステの脚本も前編後編だけなのに綺麗にまとまってたので!)

 

そう。ちょっと思ったんですよね。ここで終わる!?って。だけどエンディングの歌やダンスが、物語全体を象徴するかのようなショーだったので、すごいシンプルで焦点のわかりやすい構成だなーという印象でした。

 

岡宮来夢くんの役作りの姿勢が大好きなんですけど、なので、今回あんまり演技をみせるような舞台じゃなかったのがちょっとだけ残念でした。

エレンが母親を失った悲しみとか、同期たちが閉じ込められる絶望とか、もっと浸りたかったな。あっという間に捌けていくので、あ、あれ?と戸惑ってる間に場面転換しちゃった。

 

今回も演じる上での考えや気持ちをニコ生「くるむるーむ」で聴けてうれしかったです!

(「自分がある日理不尽に狙われて正当防衛で殺してしまったら」から、エレンの気持ちについて深めていったそうです)

 

ずっとクライマックスが続く作品だから初日から全力で歌って踊った、とも仰ってて、ワァッ!となりました。過保護オタクだから。

私が観たのは初日マチネだったので、くるむくん、「若さ」「青さ」の表現を調整してるのかな〜と勝手に感じちゃったせいもある。ファンタスティックスの歌稽古で、鶴丸の後だったから「貫禄ありすぎ」と言われて歌い方模索した、って仰ってましたもんね。

 

次のSPY×FAMILYも、ユーリは「若さ」「青さ」のあるキャラクターなので。どうかな〜!?楽しみです。観に行きます〜〜!

 

 

 

*1

アクターズリーグ in Gamesも、円盤で観て現場でみたらもっと楽しかったんだろうな〜と思いました!今年もありそうなので行きたいんですがヒプマイが…3rdバトルがあるから……

もちろん、ヒプステも生で観た方が絶対絶対楽しいです。3月のシブヤvsヨコハマも行きます〜〜!二年ぶりの水江建太くん!!!!!

 

オオサカvsイケブクロ観劇感想

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ゴヤvsシンジュク観劇感想

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(私は舞台ヒプノシスマイクが大好きです。)

強さに対する恐怖、それが生む光と影[ヒプステBAT vs M感想]

 


加藤大悟くん!!!!!!!!!!!!!(挨拶)

 

 

 


ミュージカル『刀剣乱舞』〜江水散花雪〜の山姥切国広を観て大悟くんに興味を持って、舞台ヒプノシスマイクTrack.3を視聴したのが今年2月のこと。
まさかミュの山姥切国広よりも先に、ステの四十物十四くんを生で観ることになるとは。けど行ってよかった。最高でした。
ありがとう舞台ヒプノシスマイク。

私が入ったのは12月3日のマチソワです!
楽しかった〜〜!


今回、お話の主題は「神宮寺寂雷と天国獄」の関係に絞られていました。

中学時代からの同級生だった二人は、大学生の時に決別しています。
研修医として海外に行き『世界の闇』を見た寂雷。
対して、獄の方はその時期、兄の自死がいじめによるものだと知り、医師を志す道から弁護士へ転身しています。

神宮寺寂雷と天国獄の関係について描かれているのは「過去からのchaser」です。

youtu.be


しかし、原作ではすぐにラップバトルが展開され、決着がつかないまま再会を終えたのに対して、ステでは二人の和解まで描いています。
そのぶん、寂雷の苦悩が深く掘り下げられていました。

そしてそれを描くにあたって、前述の獄の兄に関するエピソードまで触れていました。
こちらは「和衷共同」に出てきます。
原作では、復讐したいと思い悩む獄の葛藤に寄り添ったのはチームリーダーの波羅夷空却でした。
ステの方では、獄はその葛藤をすでに乗り越えているようです。代わりに、寂雷への劣等感がこれでもか!と言うほどマシマシにされてました。(*1)(*2)


テーマを絞り、獄が寂雷に対して抱く劣等感に焦点を当てると、おのずと、寂雷の苦悩が映し出されます。

寂雷に限らず、ヒプノシスマイクって「強者の孤独」が強調されているな、と常々感じています。(*3)
ここでは(というか私は)、「強者」を「意志の強い者」と定義しています。

 

ヒプノシスマイクには本心しか乗せられないので、意志(意思)の強さが必要です。
つまり、マイクを使って戦うメインキャラクターたちは必然的に、「意志の強い者」となるわけです。

「強い意志(意思)」には、他者の意見を捻じ伏せるような力があるので(他人の意見ごときでは曲げないので)、共感を得づらいという側面があります。

強い意志(意思)が共感を得るためには、伝わるように話すだとか相手の気持ちに寄り添うだとか、プラスアルファ、技術を要します。
ただ仲良くやっていきたいだけなら、自分の意思はほどほどにして相手に合わせていれば良い。
でも、ご存じのとおり、それを続けているといつしか自分の意思がわからなくなる。

ーーという心配をする必要もないほど、ヒプノシスマイクのキャラクターたちはバンバン自分の意志(意思)を貫き通しています。
最高。見ていて気持ちが良い。

ですが、どうでしょう。
キャラクターとして見る分には好感を抱く神宮寺寂雷の人間性も、実際に関わるとどうでしょうか。私ならイラッとする。めっちゃ腹立つもん。「私が救う」って言うな何様やねん!!!!!てなる。
(この辺の私の価値観は空却と同じ「救うなんておこがましい、ただ補うだけ」です)

価値観の対立とまでは行かずとも、もしも寂雷が身近にいたら、遠巻きにすると言う人が多いんじゃないでしょうか。中学生の頃の寂雷がクラスでされていたみたいに。
強者は、怖いから。
こちらの意見を捻じ曲げる強さを持っているから。

「意志の強い者」には関わりたくない。そう思う方が多数派でしょう。

そんな寂雷の孤独を和らげたのは、同じく「強者」たる天国獄でした。
と、原作で描かれていたものが、今回のステではフィーチャーされています。

ステ、寂雷が好きなのかな。
思えばTrack.2でも寂雷を中心に物語が描かれていたんですよね。動かしやすいのかな。脚本的に。
原作を聴いた時点でもすでに好きだった寂雷が、ステを観てもっともっと好きになりました。
現場でずっと追ってたよ。鮎川太陽くんの寂雷…!(加藤大悟くんは?)

あと、独歩〜〜〜!
井出卓也さんの観音坂独歩、めちゃくちゃ良くないですか?急にキレたり叫んだりするとこ、めちゃくちゃ独歩だった。
2部のライブで、最初はおそるおそるリンライを振ってたのに後半はヘドバンかましてるところも、独歩〜〜!すぎました。好きだ。


加藤大悟くん!!!!!!!!!!
良すぎた〜〜。
まさか十四のソロがあると思わなくて?!?!!!!!!
マチソワ両方泣きました。ほんとに。現場で泣いたの初めて。
バナステパライソは現場行くまでに配信を観まくってたので泣けなかった。初見の衝撃って大事。)

大悟くんにバラード歌わせるのやめてもらって良いですか!!!!!!!

嘘。もっとください。

江水でもステんばソロ「花の雨 君の名残」が良すぎて
岡宮来夢くんが鶴丸国永を初めて演じた時の「真白な鳥」に印象を重ねて)
この子かわいい!気になる!で舞台ヒプノシスマイクTrack.3を観たのが“““始まり”””だったので……。
加藤大悟くんのバラードは私を狂わせる。
もっとください。狂うの、すごく楽しいので。


楽しかったよ〜〜!
ありがとう舞台ヒプノシスマイク。
次のシブヤvsヨコハマもチケット取れてるので、行きます!!!!!
来年の現場予定、すでに3つある。やば〜。
進撃の巨人SPY×FAMILYも行きます!)

 

 

 

 

 

 

*1

天才に対する劣等感…?それでもなお天才と対等でいたい??????

見たことある構図だな………………?

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獄が冒頭「公開処刑」と歌うんですけど、コンビ時代の盧笙も簓に対してそんなふうに思ってたのかな〜?!て思っちゃった。
なんか、すごい、重ねてくるじゃん?
寂雷と獄を…簓と盧笙に…。
私がどついたれ本舗のオタクだから過剰反応してるだけですか?
気をつけろ私は認知が歪んでいます!!!!!

 

 

 

*2

ちなみに、「錆びつけば進めず、臆すれば誇りを失う。故に我々は己に否を焼べ、火を灯し続ける」 の方はほとんど触れてなかったです。
好きなんだけどな〜!あの話な〜!独歩もかっこいいし。
仄仄のあのムカつくキャラがめちゃくちゃ好きだから、ステだとどうなるのかな〜声だけかな〜と楽しみにしてたぶん、ちょっと残念ではあった。しゃーない!!

 

 

*3

オフィシャルガイドブック特典のドラマトラック「山雨来たらんと欲して風楼に満つ」では、作中世界においてクーデターを成功させ政権を握る東方天乙統女というキャラクターの過去が描かれています。

youtu.be


男尊女卑の社会で育った彼女は、父親から「女が口を出すな」と言われてきました。母親に助けを求め、それをなんとも思わないのかと問うシーンが強烈で……!乙統女が理屈を述べて意思を問うと、母親は、「それは殿方がすること」と優しく答えるのです。
そんなことあるか?!せめてお前は理解に努めろ!母親だろうが!!!!!強者の孤独〜〜〜!

hypnosismic.com

ヒプステ「どついたれ本舗 vs Buster Bros」ありがとうのきもち

 

9/25岡宮来夢くんの特典写真集のお渡し会に行ったのですが。

実はその直前、TDCに行ってました。前日もいました。3回観た。(本当は大阪公演もチケット2枚取ってましたが体調不良で断念しました…無念…)

舞台ヒプノシスマイク「どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!」、最高だった。ありがとう。

感謝の気持ちを以下にしたためます。

 

 

私のヒプノシスマイクとの出会いは2月でした。

バナステ後編が中止になって、刀ミュの江水に救われて、加藤大悟くんが気になって。

そうだ、大悟くんが出ている、舞台ヒプノシスマイクTrack.3を観てみよう!と思いました。ヒプノシスマイクのこと何も知らないのに。

初見でヒプステTrack.3を浴びた私は、まんまと「白膠木簓」というキャラクターに落とされました。

荒牧慶彦〜〜〜ッ!

荒牧さんの簓、かわいすぎ。やば〜〜。

怒涛の勢いで沼に落ちて、7ヶ月後、私は現場にいました。

 

 

 

 

 

 

ヒプノシスマイクについて

 

このブログをご覧くださってる方は刀剣乱舞岡宮来夢くんのファンが多いかなと思うので、

ヒプノシスマイクという作品について少し書いておきます。語りたいから。

 

この作品では、武力が根絶し、その代わりに「ヒプノシスマイク」という精神に干渉するマイクを使って社会が統治されています。

(日本しか描写がないので、他国もそうなのか現状ではわからないです。)

東方天乙統女(作中現総理)が、ヒプノシスマイクを使ってクーデターを成功させたのが3年前。(*1)

彼女にマイクを売ったのが、天谷奴零というキャラクターです。

 

 

この天谷奴零という男、上記の通り「どついたれ本舗」の一員なのですが、

実は、今回対戦する相手チーム「Buster Bros!!!」の山田三兄弟の実の父親でもあります。

そう。親子対決なんだよ。やばいね。

その事実が明かされるのが、「Helter Skelter」というドラマトラック(ボイスドラマ)です。

open.spotify.com

 

今回のヒプステ「どついたれ本舗 vs Buster Bros!!!」は、2ndディビジョンラップバトルの時間軸で、

ドラマトラックの「Helter Skelter」、「Aikata(s)

Back Again」、Life is what you make it(以下2ndドラパ)の内容を踏襲しています。

 

Helter Skelter」にて、実は父親は生きていた、と知った二郎と三郎。二人は自分たちのことを育ててくれた兄の一郎を尊敬しています。それは、盲目的なほどに。

しかし、親は亡くなったと聞かされていたのにそうではなかった、ということをきっかけに、二人の中にその盲目さへの疑いが生まれるのです。

それに端を欲し、二郎が一郎から自立するのが「Life is what you make it」。

「兄ちゃん」と呼び慕い、兄ちゃんが言うなら正しい!とある種思考停止で従っていた二郎が、変わるのです。「兄貴」呼びになり、自分の意思を伝えられるようになり。

最高〜〜〜〜〜〜ッ!

 

Aikata(s) Back Again」はどついたれ本舗というかほとんど簓と盧笙の話です。

零は物語のキーパーソンなので、まだほとんど何も提示してくれない

 

白膠木簓と躑躅森盧笙は、過去に漫才コンビを組んでいました。(*2)

簓には圧倒的な才能がありました。隣で劣等感を強めていった盧笙は、舞台上であがり症になるまで追い詰められてしまいます。

そしてコンビは解散。

芸人を辞めた盧笙は教員を目指すものの、不採用となり、「教員になって何をしたいのか」自分と向き合って「夢を応援したい」という新しい目標を見つけます。

一方、簓はその後、相方を探して東京へ行き、そこで碧棺左馬刻と組んで、Mad Comic Dialogueというラップチームを組みます。(なんで??????)

結局、ヒプノシスマイクによる洗脳を受けて解散となり、オオサカに戻った彼はピン芸人として再始動。

ラップチームを組めと言われて盧笙と再結成し、そこに天谷奴零も加わったのが、「aikata back againというドラマトラックでした。

 

Aikata(s) Back Again」は、「aikata back again」で再会し再結成した簓と盧笙が、新しい関係を構築するための第一歩を踏み出すエピソードです。

(「Helter Skelter」と相似した構成ですね。最高。)

 

機能不全家庭で育った簓は、ひとを信頼することができない。だから、全部自分一人でやってしまおうとする癖がある。

対して盧笙は、コンビ時代、全部一人でやってしまう簓の隣にいて、劣等感から焦って空回り、結果あがり症になってしまった。

盧笙も盧笙で、機能不全を抱えているため、ひとから期待されるのが嫌いだった。だけど、簓からは期待されたいと思っている。

 

零に発破をかけられ、その気持ちを自覚した盧笙は、「簓から期待されたい」として簓にラップバトルを申し込みます。

一方、簓の方も、コンビを組んでいた頃、盧笙とは本気で繋がりを作ろうとしていた。

だからラップバトルを通じて、本気でぶつかります。

AsBA〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!

最高。ありがとう。

 

簓も盧笙も、親との関係がうまく機能していないため、発達段階における不和を抱えているんですよね。(*3)

信頼できない。期待されたくない。

でも、それを相手には求めていた。求めているから、本気でぶつかり合うことにした。

親子という呪いを、相方によって解い解い……

 

ヒプステ、もしかしてこれを生で観れるのか?観れちゃうのか?!?!!!!!と、期待と不安を抱えて、観劇に行きました。

観れちゃったな。ハァ……

 

 

 

 

 

ヒプステ DH vs BB 感想

 

ステがアレンジした2ndドラパ、最高の舞台演出でした!!!!!!!!!(結論!)

 

原作のドラマパートではサラッと流された箇所から、感情を抜き出して、その感情が爆発するような構成になってるんです。

そう、ヒプノシスマイクは精神に干渉するマイク。このマイクに乗せる言葉は、自分と向き合わなければ出てこないのです。

男たちが向き合い曝け出しぶつけ合った感情、もう、さいこ〜〜〜!しか言えねえよ。

 

今回、2ndドラパを描くにあたって、「親子という呪いの解除」を軸にしたんだな〜という印象を受けました。

二郎が一郎の庇護から自立するイケブクロ。

そしてオオサカでは、盧笙が簓の過保護からの自立を求めました。

そして山田三兄弟は、父親である零とも決別しています。

 

今回、零の方も、「親であることより敵であることを選んだ」んです。

終盤、三郎とラップバトルを終えて縋りつかれたとき、左手が逡巡してて、本当は抱きしめたいんだろうな、と思いました。

でも、「親でいるより敵でいる」ことを選んだんだよ。

おそらくは「お前らの母親=妻」を優先して、何か暗躍しているのでしょう。マイクを作ったのも、その手段のひとつだと思われます。

息子たちに愛情がないわけではない。だけど、そのふたつを両立させることが零にはできなかった。

義理人情を謳う男なので、その選択は、零にも思うところがありそうです。

 

零がヒプノシスマイクの開発をしていた頃、一郎たち三兄弟は養護施設に預けられ、そこで虐げられていました。

一郎は萬屋を開業して、弟たちを育てます。まだ10代なのに。

この辺はコミカライズで補完されています。

kc.kodansha.co.jp

 

2ndドラパでは、そういった山田親子の因縁が色濃く掘り下げられていました。

そんな零が選んだ盧笙と簓も、親から深い傷を与えられたまま大人になっています。「期待されたくない」「信頼できない」という形で残っていたその呪いを、お互いから得ることで解こうとします。

これを軸にするために、ステでは以下の三つが強調・追加されていました。

 

①零と一郎の決別の理由に「母」のことがある

②その母(=零の妻)と自分を、零は簓と盧笙に重ねている

③山田親子の間にある「呪い」を強調するために、簓や盧笙の親との関係は抑えられた

(※③は原作というよりもコミカライズ(*2)で描かれています。)

(※①と②は、原作を聴いた時点では「そう解釈できる」という程度でしたが、ステではっきりと明言されました。)

 

 

序盤、零からの手紙を受け取った一郎は、「あいつは父親という名の何かだ」と苦悩や悲嘆をあらわにします。

そのダンス!!!!!!!!!!

舞台上には零も出てきて踊るんですが、そのダンス、零が踊ったあとに、一郎が同じ振りをする構成になってたんですよ。

やば〜〜〜〜〜。踊らされてる。現場でガン見しちゃった。

零は三郎に対して、「お前たちが進んだ道 それこそ俺が作った道」「決してお前らは俺からは逃げられない」とも言い放っています。

親子という呪い……っ。

 

主題歌のタイトルと歌詞的に、今回は「血縁」に焦点が当たるのかな、とワクワクしていました。

イケブクロ・ディビジョンの山田三兄弟は、自分たちが「血の繋がった兄弟」であることを誇りに思っています。

対して、オオサカ・ディビジョンの三人は異なる価値観です。

簓も盧笙も、そして零も、血の繋がりよりも「相方」を優先しているのです。

ステではその対比と、「血の繋がり」「血縁」という祝福と呪縛が描かれていました。

ありがとう。最高。ありがとうございました。。

 

 

 

 

植木豪さんの演出

 

来年、くるむくんがミュージカル進撃の巨人で主演を務めますが、その演出が植木豪さんです。

ヒプステでも演出を担当されています。

 

舞台ヒプノシスマイクは「ステ(舞台)」を謳っていますが、ミュージカル楽曲がラップソングに代わった、「ラップミュージカル」というイメージに近いです。

ヒプステの演出の植木豪さんと、音楽を担当するKEN THE 390さん、お二人とも進撃ミュにクレジットされています。

と、いうことは、進撃ミュ、そのまんまラップミュージカルなんでしょうか

でも、せっかくだからゴリッゴリのミュージカル楽曲も聴きたいよ〜〜!くるむくんのミュージカル歌唱を浴びたいよ〜〜ッの気持ちもあります。

どうなるのかなー。

 

植木さんの演出はなんといってもあの最新技術を取り入れた素晴らしい映像とダンスの合成なので!

立体機動装置によるアクションは、ヒプステでも使われている映像とダンスで表現されるのかなと思っています。

本当にすごいんだよ〜〜。

ダンサーさんが持っている液晶に歌詞や光が流れるのですが、その切り替えも素晴らしいし、流れる映像によってシーンがより重厚的になるんです!!!

プロジェクションマッピングとダンスの融合というやつなのでしょうか。この辺に明るくなくてフワッとしたことしか語れない!くやしい!

 

おそらく植木豪さんの持ち味がそこにあるんだと思います。

進撃ミュも楽しみ〜!

 

 

 

 

 

付記として。

 

今回、初めてヒプステのチケットを取ったのですが、先行は電子チケットオンリーでした。

電子チケットならではだなと思ったのが、

申し込み時点で同行者の個人情報も必要な点!

すごい。めっちゃ良い。

しかも、申し込めるのは一公演のみ2名まで。すごい。めっちゃ良い!

ア〜〜良いな〜〜!!!!!

(一般は紙チケットでしたが、その場合でも身分証明書を提示してからの入場でした)

 

これと並行して、双騎のチケットに苦戦していたので、もうほんと、ヒプステ最高!ありがとう!って思いました。

刀ミュくんも真似してくれませんか。。

 

たしかに、チケット当落のたびに全落ちがトレンド入りするのはお祭り気分で楽しいし(トキ消費!)、

推しの人気を実感できてうれしいのですが、

でもさあ、チケット取れないの、シンプルにつらいって。

刀ミュFC→パライソ円盤くるむくんFC→ネルケローチケ劇場先行と落ち続けて、一般発売でも取れなくて、ほんっと〜〜に泣きました。めちゃくちゃ泣いたよ。。

人気だ人気だ!ってなるほど、転売の餌食になるので。需要と供給の関係。

 

結局劇場には行けなくて、高額取引を観るたびにがっかりした気持ちになりました。利益を得るための人は取れてて、真面目に純粋に楽しみにしてる人は取れないの、どうなの〜!

刀ミュの文化の担い手としての姿勢もすごくすごく好きなので、こういうところも、うまく整備していってほしいなって思います。電子チケット導入してくれ。

 

 

 

 

 

*1

ヒプノシスマイクを作ったのも天谷奴零です。

彼がどうしてマイクを作り、それを東方天乙統女に売り、なぜ「どついたれ本舗」の一員としてディビジョンラップバトルに参加しているのか。

その目的はいまだに一切明かされていません。

ただ、乙統女は「男が統治する世界からは争いがなくならない」としてマイクを使用していますが、すっっごい皮肉だなあと思います。

いわゆる男性社会において、社会を統治するものは「武力(及び知恵)」でした。それは現実の社会も同じです。

この「武力」、社会学ではしばしば「ファルス(=概念としての男性器)」に喩えられます。

女性である東方天乙統女が、それまでの男性社会で用いていた「武力」ではなく「ヒプノシスマイク」を用いる

武器にせよマイクにせよ、「ファルスの代用品」であることに変わりはないのです。

なんて皮肉なんだろう。

(参考文献)

精神分析におけるファルスの意味 田中公江

https://atomi.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=2137&item_no=1&attribute_id=21&file_no=1

 

 

 

*2

コンビだった頃、及び「aikata back again」の内容はコミカライズでも読めます!

kc.kodansha.co.jp

時系列順に箇条書きしておくと、

・二人はかつてコンビだった

・天才・簓に追いつきたくて空回り、その才能を壊したくないとして解散を選んだ盧笙

・盧笙は簓からもらった言葉をきっかけに教職の道へ

・一方、簓は盧笙以外に相方を見つけられず、活動休止して池袋へ

・そこで漫才師を辞め(やばくない?!)、愚連隊を率いるように(笑わすための言葉を使ってラップを紡いで精神攻撃を

・思惑が働きそのチームも解散させられ、オオサカに戻った簓

・再びチームを組むよう政府から指示され、盧笙と組む

という感じです。

 

 

*3

二人の抱える機能不全は、コミカライズの一話に書かれています。

幼少期、喧嘩の絶えない両親を笑わせるために、簓は芸人の真似をしていました。(いわゆるマスコット型のアダルトチルドレンだと思われます。)

また、盧笙には、母親から勉強を強いられグレていた時期があります。(盧笙の抱える傷の程度について描写があまりないのですが、個人的には教育虐待に近いなと思います。)

高校卒業後一人暮らしをし、解散後一旦は実家に戻ったのにも関わらず、アパートを解約せずいまだにそこに住み続けていることからも、親と距離を置きたいのだと判断できます。

親との関係が健全に機能していない二人は、それによって一度解散したものの、零の助言を受けて、「やり直し」を図ります。

「信頼してみたい」「期待されたい」という解を得て。

 

 

 

 

推しの接触イベントに行ったオタクの話

 

岡宮来夢くんの写真集イベントに参加してきました)

 

 

 

 それは、まるで異世界との接続だった。

 

 

 私は約2年、岡宮来夢くんという、舞台を中心に活躍する俳優さんを推している。

 

 売れ始めたころコロナが大流行したためか、これまで個人名義での接触イベントはなかった。ほかの俳優さんたちの話を聞くたびに、直接伝えられる羨ましさがあった。くるむくんも、去年のバースデーイベントで読んでくれた手紙に「みんなの顔を見て、一人一人に、ありがとうを伝えられる日が来ますように」と書いていたから、いずれそういうイベントをしたいのかもしれない、と思っていた。

 覚悟しなければな、と思っていたところに、2022年の仕事の目標として「接触イベント(*1)を挙げられた。

 おそらくは写真集の発売に合わせて開催されることになるだろう。写真集は秋ごろ発売だと言っていたから、その時期になるはずだ。コロナの状況予測としては、日本では例年お盆に感染者が増えた後秋には落ち着く傾向があるから、無事に開催できる目算になる。(*2)お金や予定を調整しなければ。

 

 そう思うと同時に、怖かった。

 恥ずかしいのだ。

 30代、一児の母。どこにでもいるおばちゃんである。ツイッターで同担さんたちが楽しそうにしていても、絡みに行けず壁打ちのまま。地方に住んでいるので、観劇したら大抵その日のうちに帰る。(*3)現場で同担と思しきお嬢さんを見つけて、その眩しさに目を細めるだけのおばちゃんである。恥ずかしさを共有できる友人はいない。

 でも、対面してみたかった。

 これまで客席から板の上にいる姿を眺めていた推しと対面して、生きてるんだ、と実感する。そのとき、私はどういう気持ちになるのだろう。興味があった。

 マスク必須のご時世に感謝しながら、私はイベントに参加した。

 

 

 911日。私はチェキ会の第3部に参加した。朝飛行機に乗って、イベントに参加して、夜の飛行機に乗って帰宅する。イベントや観劇に行くときのルーティンだった。

 入場して通された会場は、体育館みたいな床をしていた。目の前ではカーテンが引かれていた。この向こうでチェキ会をしているらしい。BGMが流れている。くるむくんが演じているキャラクターの原作ゲームのサントラだった。本丸に帰ったような気持ち、にはならず、同人誌即売会みたいだな、と思った。

 緊張しすぎて、気が狂いそうだった。だから、懸命に別のことを考えて待ち時間を過ごした。

 

 第3部のチェキ会がスタートし、次々と先に並んだ参加者たちがカーテンの中に吸い込まれていく。さながらベルトコンベア、あるいは回転寿司みたいにして、淡々と私の番が近づいてくる。

 カーテンの中、進んでいくと、あっという間にくるむくんの姿が見えた。

 私の前の前に並んでいた人が、くるむくんの隣に立って、ビニール越しにハートマークを作っている。

 ハートマーク?!??!!!!!!!!

 なんてこった。ピースじゃなかったのかよ!

 私の頭は真っ白になった。こんなコッテコテのチェキを撮るとは思っていなかった。

 いつのまにか私の番になっていた。

 

「こんにちは〜」

 

 くるむくんは声をかけてくれた。たぶんみんなに挨拶しているのだと思う。私は会釈を返したつもりだったが、なにせ身体はガチガチだったので、わからない。態度が悪かったかもしれない。緊張していて、気が狂いそうだった。

 白線の中に立つように、とアナウンスがあった。私は懸命に白線を探した。とりあえず、ここに立つ。立ったら、ポラロイドカメラを見る。ベルトコンベア、あるいは回転寿司みたいな流れ作業だから、迷っている暇などないと思った。

 何が何だかわからないままシャッターが切られたのを把握して、終わった。と思った。その時の解放感を今でも覚えている。

 緊張から解放された私はいつもの調子を取り戻し、戸惑いを表出した。私は元来そういうタイプである。チェキってどこで受け取るの。キョロキョロしていたら、スタッフの方が指差してくれた。それを受け取って、会場から出る。

 

 捌けたあと、気がついた。

 私はくるむくんの顔を見られなかった。

 

 愕然とした。そんなことある?

 緊張しすぎて、顔が見られなかった。なんのために行ったんだ。もったいなさすぎる。

 空港に向かう電車の中、そして空港に着いてから、チェキ会でのことを反芻した。

 くるむくんの身長は夫と同じくらいである。だから、余計に男性であることを意識してしまった。

 思い返せば、バースデーイベントに参加したときも同じことを思ったのだ。

 配信で観ていたときや、観劇中、私はくるむくんの表情を注視している。感情に重きを置いている人間だからだ。でも、バースデーイベントでは全体を見ていた。顔を見ずに全身に目を向けると、推しが男性であることを思い出す。岡宮来夢くんは、お顔がめちゃくちゃ可愛いだけで、男性なのだ。

 最初はそう考えた。それだけだと思った。

 空港で夫と食べるお菓子を買いながら、考えを深めていく。

 果たして、それだけだっただろうか。

 

 ほんの数時間、自分が抱えていた緊張感を記憶の中からたどる。

 たとえば、フレンチを初めて食べた時だとか、ハイブランドのお店で買い物した時だとか、そういう感覚に似ていた。「ここにいて良いんだろうか」「何か間違えてはいないだろうか」。

 素因数分解していく。

 似たような感覚なら、観劇するたび味わっていた。とくにパライソの会場では強かった。せっかく作って行った団扇は出せなかったし、ペンライトも合ってるのか不安になりながら振っていた。

 緊張と羞恥。

 言い換えるなら、居心地の悪さである。集団に対して感じているもの。認知的不協和に近い。浮いているような気がする。

 

 だけど、それだけではなかった。

 さらに掘り下げていく。

 あの瞬間感じた緊張と羞恥は、もうひとつ、別の体験を彷彿とさせた。

 

 カーテンの向こうに異世界が広がっている。体育館みたいな床に、集められた私たち。教室で目立つ快活な同級生たち。生きるステージが違うと感じていた、思春期の私。

 

 例えるなら思春期マインドだった。

 小中学生のとき、男子とうまく喋られなかった体験に近かった。

 例えるなら、くるむくんは、スクールカーストが違うから遠巻きに見ていたクラスの人気者だった。チェキ会での体験は、教室の隅でこっそり見ていただけの人気者が、プリントを渡してくれた感覚に近かった。

 

 途端、納得と困惑が私を襲う。

 気づいたとき、ウワ〜ッと叫びそうになった。そうか。いまだにこういう気持ちに戻るのか。未知の体験だった。

 普段、親戚のおばちゃんのつもりで推していたから、困惑した。だけど、考えてみれば当たり前のことだ。私が一方的に知っているだけで、向こうは私を知らない。

 そして、私が知っている推しも、いわば「2.8次元」の存在なのだ。

 そこにはいつだって、舞台と客席という距離が存在する。同じ次元に存在しているのに、0.2次元分だけ、夢を見せてくれる。(*4)

 

 そしてこう思った。

 せっかくだから、次はちゃんと「クラスで一番かっこいい男子がプリントを渡してくれる」つもりで行こう。目を見ることを目標にしようと思った。もったいないから。

 

 925日。その日、私は舞台ヒプノシスマイクの昼公演を観た後、一駅だけ電車で移動して、お渡し会の会場を訪れた。

 なにせ観劇直後だったので、幸か不幸か、頭の中は先ほど観た舞台ヒプノシスマイクのことでいっぱいだった。その感想をまとめていると、あっという間に列が捌けていって、私の番がやってきた。

 減っていく列の中、そうだ、と大事なことを思い出す。

 今日の目標。くるむくんの目を見て特典写真集を受け取ること。頭の中に刻む。

 カーテンを越えて、異世界へと足を踏み入れる。同担たちの並ぶ列の先に、くるむくんがいた。ベルトコンベアか回転寿司か、サラーっと流れていく中で、フライヤーを配ってるみたいだなあと思った。

「ありがとう」

 くるむくんは今回はそう言ってくれた。ありがとうだったよね?あれ。こんにちはだったかも。ヒプステのこと考えてたから実はあんまり覚えていない。もったいない。

 記憶は容量オーバーだったが、くるむくんの目を見た、目標を達成したことだけは覚えている。緊張すると目つきが悪くなるから睨んでいたように見えたかもしれない。くるむくんの方も、虚ろというか、ぼんやりとしていたように記憶している。記憶違いかもだけど。

 

 これまでは客席から眺めているだけだったくるむくんと、対面した。私はどういう気持ちになるのだろうと興味があった。実は、よくわからなかった。あまりにも一瞬だったから。

 ただ、ものすごく緊張したし、思春期みたいな羞恥を得たし、貴重な体験だった。楽しかったかというとあんまりそうは思わないけど。人生経験として面白かった。

 撮ったチェキは特典写真集と同じ場所に保管してある。写真集が届いたら、それも同じところに仕舞おうと思う。

 異世界に接続した日の記録として。

 

 

 

 

*1

124日に配信された「ニコ生放送くるむるーむ#25」での発言。

接触イベント」って言い方かわいくないですか。オタク以外が言ってるの初めて見た。かわい〜〜!(推し全肯定オタク)

sp.ch.nicovideo.jp

 

*2

コロナの感染状況は以下の二つを参考に推測しています。どの国のグラフも大きな波を描いているので、気の緩みによる感染増の傾向が高い、と読んでいます。あくまで専門外の人間による個人的な意見です!

世界の感染状況NHK

国内の感染状況東洋経済

 

 

*3

普段は日帰り観劇してますが、去年のバーイベとチャリブラ大楽は家族旅行と抱き合わせで行きました。長野市芸術館にて父親に「意味のあるジャンプ」をさせられていた幼女は私の娘です。悪目立ちしていたらほんとごめんなさい。

 

*4

腐女子のつづ井さん「腐女子と異文化交流」より